オーバーコートの中でも最もポピュラーで格式のあるオーバーコートといったら「チェスターコート」です。ビジネスマンになれば一着は必ず必要不可欠のアウターです。以前までは礼装用コートの代表格として広く知られておりまいしたが、現在ではおしゃれなビジネス用としても広く使われるようになりました。 以前は膝の長さからロングで全般的にゆったりしたシルエットの「チェスターコート」が一般的でしたが現在は膝からやや短め、もしくはショート丈の軽快感がある「チェスターコート」が多く見受けられるようになりました。相変わらず上襟にベルベットを付けた「フォーマル用チェスターフィールドコートもあれば、着丈をショートにしてバックには切り返しのベルトのついた「インパーテッドベルト」スタイル。ウェスト位置にベルトをつけた「ベルテッドコート」などさまざまなタイプのチェスターコート(チェスターフィールドコート)を見られるようになり、かなりのブームを呼んでおります。一着は欲しい「チェスターコート」。オーダーメイドで「チェスターコート」はいかがでしょうか。 |
チェスターフィールドコート(チェスターコート)とは単に「チェスター」とも呼ばれている昼間ないし夜間に着用する礼装用のオーバーコート(もしくはトップコート)のことです。 以前までは礼装用コートの代表格として広く知られておりまいしたが、現在ではおしゃれなビジネス用としても広く使われるようになりました。 このチェスターフィールドコート(チェスターコート)の名称の由来はカニングトンの『英国衣装辞典』によると「1830年代から40年代にかけてのファッションリーダーの一人であったチェスターフィールド W世伯に敬意を表して名付けられたもの・・・・・」とあります。 この人は、かのジョージU世治下の延臣であり同時に「趣味の権威者」でもあったチェスターフィールドW世伯ほどには知られていないが、当時の社交場や仕立て屋の間では、ドルセイ伯、ピーターシャム卿、ディズレーリ(後のビーコンスフィールド伯、19世紀英国の大政治家)、ブルワー・リットン(「ポンペイ最後の日」の著者として有名)・・・・などに並ぶ19世紀中葉の典型洒落者として記録されております。 初めてそのチェスターフィールド・コートが紹介されたのは1840年のことであります。 当時のそれは、胴をわずかに絞った膝丈のシングルないしダブル型のコートで、布地にはメルトン、チェヴィオット、アンゴラ、ツイードなど比較的肉厚のウール地が使われ全般にスポーティーな感覚の外套をさせていたようです。 これが流行し始める1850年代に入ると、早くもチェスターフィールドの〈目的〉とも言うべきビロード衿が見られるようになり、前合わせの部分もいわゆる「比翼仕立て」、背中には太い縫い目が入り、そして浅いセンターベントに、胸ポケット付き、という今日我々がイメージするところの原型がほぼ出来上がりました。1860年代から世紀末にかけて、チェスターフィールドコートはディテールよりも着丈の変化が激しく、たとえば1860年代終わり頃は膝丈全盛だったのが、75年には膝3インチ丈となり、されにこの3年後78年にはふくらはぎをほとんど覆うまでになりました。だが、1890年代に入るとまたチェスターフィールドコートは、膝前後の長さに戻るというような始末。すでにヴィクトリア朝後期の1890年代には、同じチェスターフィールドコートでも。 1 ロング・チェスター カーフ・レングスが特徴の極端に着丈の長いチェスターコート(1895年には、くるぶし近くまでになりました)。 2 サック・バック・チェスターフィールドコート またの名を「アルバート・ドライヴィングコート」とも呼んだように、文字通りドライヴ用外套として着用されたもの。今日に言う「カーコート的かんかくの、着丈の短い全体的にゆったりとした外套であります。型もシングルよりもダブル型が多く、両脇に縫い目があるだけで背中は一枚仕立て、というプレーンなもので、大半は浅いサイドベンツが切られていました。 3 ケープド・チェスターコート 膝の長さぐらいのケープ付きが特徴のチェスター、着丈は膝丈前後が中心で、全般的にゆったりとしたシルエットのものでした。 などさまざまなタイプのチェスターコート(チェスターフィールドコート)を見られるようになり、かなりのブームを呼んだもようであります。 しかし第一次大戦後には、これまでのような激しい変化もなく、ほとんど一定といってよいくらいのスタイルを保ちながら現在にいたっております。 とはいっても今日では例のビロード襟付きが特徴のクラシックタイプと呼ばれている簡略式のものが主流となっております。 |