当店のオリジナル「ノーフォークジャケット」は、あまりにも本格的過ぎて、工場や職人に頼んでも「前例がない」だの「めんどくさい」とのことで断れてしまい、縫いなれているテーラーの職人である私が以前から、「本格的な、どこも仕立てることが出来ない、フルハンドメイドを取り入れた本格的でオリジナルの「ノーフォークジャケット」をいつでも注文をいただき仕立てておりましたが、テーラー業2代目の父が2年前に他界しまして、3代目である私一人になり、工場側ではオリジナル過ぎて出来ないとのこと。私一人で仕立てるにはあまりにも時間と手間がかかるので最近はお断りをしておりました。 現在でも仕立て業の仕事に忙殺されておりますが、「テーラー渡辺は忙しすぎて面倒な仕立ては断っている」とホームページの評判で変な噂を聞くようになりました。「よーし、それならば、その変な噂を打ち消すためにも、やってやろうじゃないか!!」。「大事な父から受け継いだ、「テーラー渡辺」の看板に傷をつけちゃぁ仏に申し訳ない」。「私はテーラー業の職人だ!よ〜し、やってやるぞ!!」。と私の職人魂の火がつきました。数日掛けて、ようやく渾身の一着。本格的なオリジナルノーフォークジャケットが仕上がりました。 |
ひとつひとつの作業がすべて私の感性にて仕立てられます。約五年前までは、親父と一緒に仕立てていたよな・・・・。と思いながら、・・・・懐かしがりながら仕立てていました。親父が仕立てた、残してくれたノーフォークジャケットを見ながら、・・・・思い出しながら“手探り状態で”仕立てておりました。親父と、「ここはこうしなきゃだめだ」。「ここはこうした方が良い」と親父と意見を交わしながら色々と試行錯誤して仕立てていたよな・・・。約4年前まで、親父と一生懸命色々と相談しながら仕立てていたことが今でも鮮明に思い出しますね。 一針、一針心を込めて時間を掛けてゆっくり仕立ててまいります。親父が仕立ててくれていた遺品になった「ノーフォークジャケット」もご紹介。いかがでしょうか。完成したジャケットを見て心の中で「親父(おやじ)・・・・。俺・・・技術において、ちょっとは親父を超えたのかな?・・・」。そんなことを思っているときっと天国で親父は「何を言っているんだ!!職人は死ぬまでが修行だ・・・まだまだ修行が足りないぞ!!」。「毎日が研鑽努力だ!!と怒っているかな・・・。 |
「ハンチングキャップ」当店では、オリジナルの「ハンチングキャップ」その他に「キャスケット」「ポークパイハット」他色々なハットやキャップをフルハンドメイドでお仕立ていたします。 「アクションプリーツ」 狩猟の時に背中を丸めやすくするため、運動量としてのプリーツ襞(ひだ)。 |
「チンウォーマー」狩猟中に雨が降ったり、強い風が吹いた時、襟を立てる補助的なストラップ。こちらはすべて私自らフルハンドメイドで仕立て上げました。 |
「オールラウンドベルト」前身ごろから、肩、背中の裾まで太いベルトが施されています。これは狩猟で獲得した、鳥やウサギをそのベルトに挟む役わりのもの。現在ではディテールとして全部縫い込んでいる。 「オールラウンド・ウェストベルト」ジャケットの上から獲物を下げる為とベルテッドコートのようにウェストを縛り上げ、フィット感を得るためのウェスト位置にオールラウンドベルトをつけました。 |
ノーフォークジャケットにおいて、巷の洋服屋さんが背中にアクションプリーツ(ひだ)を施しているだけの上着を総称して「ノーフォークジャケット」だとお客様に勧めているようだが、それだけでは本来の「ノーフォークジャケット」とはいえない。「ノーフォークジャケット」とは、1860年代にイギリスのスコットランド、ノーフォーク地方のノーフォーク公爵が狩猟用に着ていたジャケットが発祥とされている。このように「ノーフォークジャケット」の源流はスコットランドの森で狩猟用(HUNTING)に着られていただけに、ディテールやデザインにおいてもその独特の名残を残しているので、衣服の性格性がはっきりしている。馬に乗って獲物を生け捕りする鹿狩りやキツネ狩りの時に胸や背中に襞を入れウェストのまわりに、ベルトがついたクラシックなスポーツ・ジャケットが基本的な「ノーフォークジャケット」のデザインなのですが、それだけでは本来のノーフォークジャケットとはまだいえない。それを今回【職人】の私がオーダーメイドで仕立てたノーフォークジャケットでご説明いたします。 |
どういうものか男物のジャケットの柄においては、英国風のクラシック・パターンが主流です。ことに、ツイードの柄物ジャケットになると、これは絶対に英国調でなければ迫力がなくなってしまうから不思議です。 その昔、英国紳士達がカントリーライフで愛用していたガンクラブ(英国ではコイガックといいます)もグレンチェックもオーバープレイドもウインドペーン(ウィンドペイン)も・・・。 これらの伝統的な柄物の原型は、すべて英国で生まれたものです。スコットランドには古くからタータンチェックと・ディストリクト・チェック(地方のチェック)が作られておりました。 タータン・チェックは身分とか家柄を表す意味合いを持っているので、お祭りとか公式な場所で着られることが多かったのですが、ディストリクト・チェックの方はツイードに織り込まれた柄物でプライベートな服装として着用されました。 ディストリクト・チェックは英国伝統のハンティングやゴルフなどのカントリースポーツ着として着用されていたものです。ことに王族や貴族などの上流階級に親しまれたこれらのスポーツは、海を渡ってアメリカにまで上陸していきました。ガンクラブもその一つです。アメリカの著名な紳士を会員とするアメリカン・ガン・クラブのユニフォームとして採用されたところから、その名前がつけられたそうですが、その原型は英国のディストリクト・チェックのコイガック(COIGACH)であったそうです。 |
2011年8月31日 ブログにて 「誰も知らない憧れのノーフォークジャケット」 |
4日前のことでしょうか。ホームページからのご依頼で 「コンタクト」からのメールで真ん中の写真と同時に、ノーフォークジャケットのご注文がありました。 その写真を見て、懐かしさを感じましたね。左の写真が約30年以上前、昭和49年発行の「アイビー特集号」の「メンズクラブ」です。私は結構昔の「メンズクラブ」をたくさん、大事に大事にとっております。「テイク・アイビー」「トラッド歳時記」他、いろいろとね。年がばれますが「トラッド」は私の高校、大学時代の青春そのものですから。そのなかの写真に載っていて当時、あこがれて自分も縫った経験のある【ノーフォークジャケット】です。巷のオーダーやさんでは背中のプリーツが付いているだけのジャケットがノーフォークジャケットと思われていますがそれは若干違っております。 【ノーフォークジャケット】とは英国ではその昔、ノーフォーク公爵が狩猟のときに着ていたところから【ノーフォークジャケット】といいますので、下の写真の通りウェストベルトや、前から後ろまで飾りベルトが付いていたり、チンウォーマーがついていたり、狩猟の弾丸が落ちないようにポケットに蓋とボタンが付いているのが本格的なノーフォークジャケット。 このジャケットの依頼を受けたのはいいですが、どこの工場や、どんな職人に頼んでも「こんなの前例がない」。だの「こんなめんどくさいのはやらない」。ということで、全員に断られてしまいました。 たぶんこのジャケットをデパートや、セレクトショップでオーダーとして頼んでもできないのでしょうね。 業界の友人達に聞いても誰も知らないのです。私も洋服屋の職人です。そんなことで、あこがれていて知っていた私が縫うことにしました。(でもこれ結構大変なのですが) ○○様、しっかりと縫いますのでお待ちくださいね。 |