2012年10月4日(木)にギャップ・ジャパンから「東京オーダーメイドガイド」が各書店にて発売されました!! 本の内容はオーダーメイドのスーツだけでなく、各分野の品物から建物に至るまで全般のこだわりを持ったオーダーメイドのアイテムを網羅した充実した本になっております。 その中に光栄にも、私の店の「テーラー渡辺」も見開き2ページと、もう1ページにわたって掲載させて頂きました。その事については発行元の株式会社ギャップジャパンさんには本当に感謝しております。 当店のみならず他のショップが31店舗。オーダーできるアイテムが45種類となかなかの見応えのある素晴らしい内容となっておりますので、どうか皆様、各書店にてお手にとってお買い上げ頂けますよう、よろしくお願いいたします。ご紹介されているひとつひとつがきっと皆様のご満足できるアイテムとなることでしょう。 |
01.02.手仕事によるきめ細やかな縫い目によって、生地が美しく盛り上がったブートニエールと胸ポケット。 03.ボタンホールも職人の技量が試されるところ。手かがりによって頻繁にかけはずしても丈夫さを保ち、高級感ある風格を醸し出す。 04.「当時のバイブルは、今も参考にすることが多い」と渡辺弘行さん。中にはMEN'S CLUBの創刊号も。 05.ホームページもすべて自作。掲載用に渾身の1着を撮影する。 |
「見てください、この衿穴。立体感、繊細さ、見事に揃った美しい縫い目は、ハンドでなければ出来ません。 超極細のシルクの糸でゆっくりと巻き付け、丁寧にかがっているんです」。うっとりと、しかし流れるほど饒舌に語る渡辺弘行さんは、1910年から続くテーラーの三代目。人の手で縫い上げた美しさや味わい深さを小さな頃から体感し、感動、尊敬、故に職人たちと共に働き、正確な技術を身につけた。 「いくら機械が発達しても、人の手による一針一針は再現できない。手縫いならではの運針の甘さがあるからこそ、着続けるほどに人の体に馴染んでいく。それが、なんともいえないいい塩梅なんです。 店舗2階には、60年来のアトリエがある。今も現役の父と二代、黙々と仕事に耽る場所である。注文によって様々なスタイルを仕立てるが、「テーラー渡辺」の特徴といえば、肩、襟、ポケットに至るまで、常にやさしく包み込むようなラインだろう。 たとえば、構築感ある肩のライン「サヴィル・ロウ・ショルダー」を仕立てる時は、基本の線を活かしつつ、袖先にほんのり盛り上がりを持たせてノスタルジックな印象を与えている。「こうすると品格が増すでしょう。肩先と袖を縫った後に縫い目の間に添え綿をのせ、縫い目を片返して仕立てます。技術的にも難しいし、手間のかかる仕事だけど“こだわる”ってこういうことだと思うから」。傍から見れば、滑稽に映るかもしれない。しかし、満足のためにとことんこだわるのがオーダーメイド。 決して大きな店ではないが、全国から注文が絶えない理由は、こうした積み重ねにあるのだろう。“スーツおたく”の性に合った、究極の服作りがここにある。 |
1910年に祖父がテーラーを開業。 幼少期よりお洒落に関心を持ち、学生時代はアイビーファッションに惹かれる。 大学時代にはアメリカンフットボール部のポイントゲッター、ランニングバックとして活躍。1978年にはリーグ戦において大学での初優勝を成し遂げる。「テーラー渡辺」の3代目として家業を継ぎ、営業活動にも尽力している。 フルハンドメイドオーダーだけでなくハンドとマシンメイドを併用した一切妥協しないオーダースーツを展開。 高度なクラシックの技術を駆使して、モードなスーツを作る先駆者的存在。 好きな文学: 『されどわれらが日々』柴田翔 好きな色:スカイブルー |