2015年2月10日、各有名書店にて株式会社「ミスター・パートナー」から「ミスターパートナー3月号」が発行されました。その最終ページに当店が「仕事人の手」の題名で、三ヶ月にわたって特集ページとして掲載されることになりました。その内容をご紹介いたします。 |
本物のスーツを生み出す手 伝統とモードの確立 「新しいものだけでなく、古いものも大事だと思います」 そう語るのは、ハンドとマシンを併用したフルハンドメイドオーダーのスーツを手掛ける『テーラー渡辺』の3代目代表、渡辺弘行氏。洋服への信念とこだわりを持ち続け、現代に通用する高いセンスをまとった服を数十年物間作り続けている。渡辺代表が仕事を継いだ当時、店はまだ下請け工場だった。 仕立て職に就く若い世代の仲間がいないことに戸惑いを感じつつも、大好きな洋服のために勉強を重ねる日々。豊富な知識と経験を重ねることで一流の店主へと成長した。職人として実績を積んできた背景がお客様の細かな要望に応えられる渡辺代表の腕に磨きをかけたのだろう。 「デザイナーさんだってなんだって、クリエイトする上で発想するには、やはりもとのパータンやデザインを基本としています。古い物こそ大事なもの。時間が経ってもなくならない物は、やっぱり本物なんです」。その考えは、渡辺代表のスーツ作りにも確かな形で表れている。 単なる見かけ倒しではなく、スーツを着るお客様の体の内から沸き上がる魅力を最大限に引き出すため妥協は一切なし。都会的でオシャレな雰囲気を持ちながらもスタイリッシュで格好良い。最高の感動と共に着る楽しさを味わえるスーツは渡辺氏ならではだ。 「駄物はいくら流行を走ったって消えいく。 最後に残るのは限られたものだけです」。伝統を取り入れ、そこから新しいモノを発想していく。それが、本物を作り出すには必要不可欠だと指摘する。 職人として培った経験を活かし、その中に独自のディテールを加えていく。着やすく、余計な力が入らない。機能的でありながら、愛着を持って長く着られる究極の1着。 そのようにして、お客様のイメージを引き出す最高の1着こそが渡辺代表の手が仕立てるハンドメイドオーダースーツだ。 |
仕事人の手 新しい情報を具現化する手。 流行の先を読んだスーツ。 ファッション業界の動きを先見の明で捉え、他に類を見ない上質なオーダーメイドを作る『テーラー渡辺』。3代目の渡辺弘行代表は、現在では数少ない縫製の技術を持った販売員だ。 店を継いだ当時は下請け工場だったこともあり、渡辺代表はオーダースーツに関するあらゆる知識と情報、技術を備えている。幼少期からファッション雑誌が好きだったという渡辺代表。思春期の頃に出会った友人との縁が服飾業界へと駆り立てた。「高校時代、お洒落をする事が大好きな友達がいたんです。インパクトの強いその友達がいたからこそ今の自分があるんだと思います」。 感性豊かな思春期時代に出会ったことが、オシャレの「楽しさ」を気づかせてくれたのかもしれない。 当時、多くの若者を魅了し世界を飲み込んだファッションムーブメント、トラッド。 渡辺代表もアイビーファッションの洗礼を受けた一人だった。ファッションが多様化した現在とは異なり、当時は集中的なファッションが流行った。 トラッド、クラシック、アバンギャルドなモード。その流行は、若者の瑞々しい感性に訴えかけ、渡辺代表にオシャレの大切さとすばらしさを教えてくれたという。 当時の経験はカルチャーショックだった、と渡辺氏は振り返る。その後、めまぐるしく変化していく流行をつかみながら自分のファッションを確立していったという。 現在でもアンテナを張り、ヨーロッパへと赴いている。「私はお客様にヨーロッパの生の情報を提案しなければならないんです。ですから、新しい情報がファッション誌に出た時点でもう手遅れなんです」。スーツが完成した半年後にそのトレンドが訪れるようにと、常日頃から情報に敏感でいること。実績を積んだその手は、体に合わせたオーダーメイドスーツを作るだけでなく、伝統を受け継ぎ、時代に見合ったデザインを仕立てている。 |
仕事人の手。 スーツに喜びを与える手。 注文に確実に応える一着。 上質なオーダースーツを仕立てる『テーラー渡辺』 1910年に開業したテーラーを引き継いだ渡辺代表は同店の3代目。体にぴったり合うだけでなく、時代に見合ったデザインのスーツを手掛けている。「注文建築同様、オーダー洋服も「注文」する事に変わりはありません。ですから、限られた時間の中で話し合い、お客様の良いところや求めているものを租借し、具現化するのが私の仕事です。そのためには提案を作って行かなければなりません」重要なのは、今、ダイレクトに流行っている本物の新しい情報。渡辺代表が提案するのはファッション雑誌に載るより前の、生のトレンドだ。「洋服というのは、提案したら分身のように離れていってしまいます。 ですから、お客様が求めるのは、誰も持っていない本物志向の「良い服」。その要望にと応えるため渡辺代表は洋服の勉強を重ねてきた。それは今でも変わらず、最新のトレンドを求めてヨーロッパへと赴いている。体型に合っているだけのオーダースーツでは、めまぐるしく変化する現代のファッションには通用しないと渡辺代表は指摘する。重要なのは、着る人の魅力を引き出す価値あるオーダースーツ。愛着と共に長く着られる一着を提案することだ。日本でも数少ない縫うことの技術も持ち合わせた一流の販売員として、自ら情報を発信してきた渡辺代表。その根底にあるのは、洋服に対しての強い信念と一切の妥協を許さないこだわり。「私は常に、刺激を受け続けていきたのです。驚きは感性を刺激してくれますし、好奇心旺盛であるためにも刺激を常に感じていたいのです」。 渡辺代表が仕立てる最新のデザイン・スタイルのオーダーメイドスーツ。その手が生み出すスーツは、着る人に感動をも与えてくれる。 |
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![]() 幼少期よりお洒落に関心を持ち、学生時代はアイビーファッションに惹かれる。 大学時代にはアメリカンフットボール部のポイントゲッター、ランニングバックとして活躍。1978年にはリーグ戦において大学での初優勝を成し遂げる。「テーラー渡辺」の3代目として家業を継ぎ、営業活動にも尽力している。 フルハンドメイドオーダーだけでなくハンドとマシンメイドを併用した一切妥協しないオーダースーツを展開。 高度なクラシックの技術を駆使して、モードなスーツを作る先駆者的存在。 好きな文学: 『されどわれらが日々』柴田翔 好きな色:スカイブルー |